病気・治療の解説Explanation

漢方薬について

めまい(又はめまい症)の漢方薬

耳に関する疾患で漢方薬が最も活躍する場は、やはりめまい症においてです。めまいを引き起こす原因はさまざまで、例えばメニエール病のように、内リンパ水腫といった病因が比較的特定できる疾患については、その病因に即した治療が優先されます。しかしながら、必要十分な検査を行っても原因のはっきりしないめまい症もあり、むしろこちらのほうが多数を占めるといっても過言ではありません。以下にいくつかの処方を例示し、それぞれがどのような場合に適用されるかを解説します。

苓桂朮甘(りょうけいじゅつかんとう)
水分代謝の調節の乱れが、めまいの原因と想定されるときに処方されます。典型的な疾患は、メニエール病です。めまいの発作期(急性期)には、内耳にたまった余分な水分(内リンパ液)を急速に排出する目的の他の薬剤が用いられます。苓桂朮甘湯は発作期が過ぎても残っているふらつきや耳鳴り、頭重感などに効きます。また、めまい発作の再発の予防に効果が期待されます。
半夏白朮天(はんげびゃくじゅつてんまとう)
やはり水分の代謝が不調で、めまいや頭痛のある方に処方されます。但し、苓桂朮甘湯と異なるのは、より体力が低下していて、胃腸が弱っている方に処方されます。高齢者に処方されることが多いです。
真武湯(しんぶとう)
半夏白朮天麻湯の適応よりさらに体力が低下していて、食欲がなく、ふわふわするようなめまいを訴える方に処方されます。
五苓散(ごれいさん)
この処方も水分代謝の異常が想定されるときに用いられます。二日酔いのときに経験するような頭痛があり、めまいを伴い、口が乾いているのに水を口にすると気分が悪くなるときに処方します。熱中症が疑われるときにもよく処方されます。

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