のどに関する病気
咽頭・喉頭・気管支異物(いんとう・こうとう・きかんしいぶつ)
魚の骨を扁桃腺またはその周辺に引っ掛けてしまった咽頭異物が最もよく見られます。風邪気味で扁桃腺が腫れているときは特に引っ掛けやすいので注意しましょう。鏡でのどを見て簡単に取れそうならご自分で摘出しても問題ありませんが、無理に取り除こうとして指の爪で引っかいたりすると益々深く刺さり、場合によってはのどの奥深くに移動して摘出困難になります。魚を食べた後、いつまでものどがチクチクして、魚の骨をつかえたと思ったら、ご自分で色々する前に最寄の耳鼻咽喉科医に相談するのが賢明です。次に幼児がコインや飴玉などを下咽頭といわれる食道の入口部につかえてしまう事があります。空気の気管への入口である喉頭と隣り合わせているため、喉頭狭窄(声門狭窄)を起こし呼吸困難となります。また狭窄した声門を空気が無理に通ろうとするため、ゼーゼー・ヒーヒーといった喘鳴が聞かれます。まず幼児を逆さにして背中を叩いて下さい。重力でコロンと出てくることがあります。お腹をたたくのはかえって危険ですので注意して下さい。この方法で解決しないときは急いで耳鼻科医のいる病院に駆けつける必要があります。専門医はレントゲンで異物の位置を確認した上で、喉頭展開という方法で異物を摘出します。お年寄りの方などが、餅などをうまく飲み込めずに喉頭に引っ掛けてしまう喉頭異物は、著しい呼吸困難をきたし、即座に取り除かない限り、窒息死の危険があります。救急隊員が駆け付けたときにはすでに呼吸停止していることがほとんどですが、救急隊員の応急処置で救命できた例もあります。気管支異物は、乳幼児がピーナッツやプラスチックのおもちゃの部品などを口に入れていて誤って吸い込んでしまったときに起こります。異物を吸い込んだときの状況から即座に診断できることがほとんどですが、お母さんが目を離している隙に吸い込んだ場合には、CTなどの画像診断を行ってはじめて診断されることもあります。異物が大きい場合は、呼吸困難・喘鳴・チアノーゼ(酸素欠乏のため皮膚が紫色になる)が起こります。異物が比較的小さい場合にははっきりとした症状を示さないこともあります。この場合でも咳がいつまでも続くときには異物の存在を一応疑ってみることが大切です。肺炎と誤診され、長期に渡って抗生物質が投与されていた例を経験しています。治療は全身麻酔下に内視鏡を使って摘出します。